月の命日



引っ越しの準備をする中で、そういえば今の部屋に親父は来たのかな?って思った。
お袋は、実は前回の引っ越しをメインでやってくれた(というか、僕がさぼってた)から、当然来ている。 その後も何度かは来たんじゃないかな?
親父も東京に来たことはあったけど、うちに寄ったのかな? 人が来るような部屋じゃなかったから、来てないかもしれない。
狭いし、当時は椅子とかもないから座るところもないし、もちろんお客さん用で布団を敷くところもない。
まぁ、こっちもなんとなく呼ばなかったし。 別に避けていたとかではなく、わざわざそういうことがなかった。
甥っ子と姪っ子が進学で一人暮らしを始めた後に思ったことがある。
それぞれ奈良、京都にいるわけだが、そこに行く、ということにはなんとなくハードルを感じてしまう。
「部屋を見に行く」のも変だし、「泊まりに行く」のも、自分の感覚からいくと違う。 逆に、そっちに行って「たまにはホテルにでも泊まるかぃ?」と、少し日常と違うことをしてあげたいと考えてる。
それぞれがもう大人だし、そこに行くことにはこっちにも緊張がある。
お袋はまぁ、いつまで経ってもこっちは面倒を見る対象で、ずかずかと入ってくるんだろうけど、親父はどうだったんだろうな?お袋と一緒であればもちろんOKなんだろうけど、一人で遊びに来ることなんて全く想像もできないし、きっとそういうことはできなかったろうな。
住むところか。
今の実家は、僕がこっちに上京して7~8年くらいの時期に建てたと思う。 18歳で家を出た時は、岸の浦にあった家からで、そのうちに帰る場所は変わっていた。 僕にしてみればちょっと距離感のある実家。 自分の生まれ育った家ではない。 でも、何度も帰るうちになじみ始めている。
親父とお袋は、自分のため、そして兄貴や僕のためにあの家を買ったんだろうな。
僕の上京は1987年。 親父は1935年生まれだから、52歳の時。 家を建てたのは…今の60歳くらいだったのかな?
僕はいつまでも賃貸のアパート。まぁ、家族のことや生活のことは今は今だからそれがいいか悪いは別として。
ただ、この年齢になって、新しい部屋に移るにあたって。
生活をもう少しきちんとしたものにしたいなと思ってる。 やることというよりも、整理とか整頓とか。 誰かが来てもいいような、お袋や兄貴たち、友達、女の子、もちろん、親父がのぞきに来ても。 「おぉ、ちゃんとしてるな」ってくらいの見え方にはなるように。
月の命日。
もうすぐお袋の誕生日。 同じ1935年生まれだった夫婦は、どんどん年齢差が広がるね。
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