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傷んでるベーコンとまだ大丈夫なピーマンのスープスパ

ご飯を作ろうと思って冷蔵庫に相談したら不機嫌な彼女。
「ねぇ、私の中に入れっぱなしにしてるの、忘れてない?」

彼女の中を覗き込むと、確かに。 忘れているわけじゃないけど、意識の端からこぼれ始めたベーコンがいた。
「そーだよ、ひどいよ。 こないだ少しだけ食べて忘れてただろ、俺のこと!」

奮発して、ちょっといつもより高いベーコンを買ったんだっけ。 パックに入ってはいるんだけど、「○○ハム」社製とはちがって、もう少し手作りっぽい感じ。 肉から脂分がギッタンギッタンに染み出してきているくらいの、男らしい奴。 何枚か使って、後は残しておいたんだ。 ・・・そのときに、フリーザーパックに入れたのがよくなかった。 においも完全に遮断してて、彼のことを意識させる手がかりが消えてしまってた。

「早く食べてあげてね」
彼女に促され、彼女の中から取り出す。 こないだ会ったときよりもいっそう脂ぎってる。 ほっといたことに対して、こんな風に怒りを表現されるなんて・・・
見た目の違いはそれくらい。 妙に日焼けした痕や表面にボツボツと無精ひげが出ているわけでもない。 いけそうだけど・・・問題は・・・匂いと手触りだ。

パックを開けて、彼に鼻を近づける。

・・・

・・・・・・判断がつかない。



独特の彼のにおいがする。 彼自身の持つにおいではあるんだけど、なんせ奮発したからいつもの彼の仲間とは微妙に違う。 どこか奥深いところから、彼とは違う感じのにおいもしてくる。 でも彼は彼だ。 でも違う。

触る。 だめだ、彼の脂分がこちらの判断を苦しめる。 ぬめっている訳ではない。 でも、脂が・・・ぬめりじゃないようだが・・・脂か? ぬめりか?

彼女に視線をなげても、何も答えてくれない。 ただ冷たく、そこに立っているだけ。 「あとの判断はあなた次第よ」と、僕を見下ろしている。




意を決した。
彼を暖めてあげよう、しっかりと。
彼の冷め切った心と体を、温めてあげることで解き放ってあげよう・・・




においと手触りに微妙な違和感を覚えつつ、彼をフライパンの中へ。
彼が熱を帯びるについて、僕の不安も消え始める。

大丈夫、きっと大丈夫・・・


彼と、ピーマンと。 アルデンテっぽく茹でた麺と、コンソメベースのスープと。
熱をしっかり通したから、彼もいつの間にか、硬く引き締まったからだになっている。

味は・・・うーむ・・・本来の味なのか、それとも違うのか・・・もともと適当な味付けだからわからない・・・


でも。 一つだけ言えることは。


今朝も、僕の体は大丈夫だということ。
彼は僕のおなかの中。 彼女はいつものところにいる。

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