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月命日

ブリューゲル ブリューゲル ブリューゲル


お袋を連れてどこか旅行に行こう、という話をしていた時に。
どこがいいのかをお袋に聞いていたが「山口にはまだねぇ・・・」とぼやいた。

山口は。
家族で最後の旅行に行った場所だ。
親父とお袋、兄貴家族、僕。 7人で最後の旅行だ。

露天風呂のついた部屋を予約し
親父と、お袋が最後に一緒に温泉につかった場所だ。
家族で晩ご飯を食べ、朝ご飯を食べ、車に乗って。
その旅行の最後に、僕は空港で車を降りることになっていた。
宿から空港へ戻る途中に
景色のきれいな島へ寄って
高台の神社に寄って
幼い頃に住んでいた下関市の家の辺りに寄って。

その途中から親父は体調が優れなくなり
最後に家族でお昼を食べようとしたけれど
傍目にも食事がとれそうな元気でもなく
車から降りることもできなくなった。

空港で僕が降りたあと
そのまま病院へと行って、そのまま入院した。 親父は、もう家に戻ることはできなかった。



その記憶がまだ鮮明なんだろう。
お袋は、山口を避けていた。
はじめて知った。


「仕方ないけどさ」
「もしかしたら親父は、お袋との最後の思い出の場所にお袋が来てくれないことの方が寂しいかもしれないよ。お袋の気持ちももちろんわかるけど。そのうち、お袋が元気なうちに行ってあげることができるといいね」

僕の気持ちの押しつけなのかもしれないけど
このままお袋が衰え、もう行けなくなるようなことになる前に、気持ちを切り替えることができるといいと思った。
行く、行かないの判断はお袋がすればいい。
ただ「行くことができない」という気持ちが、少しでも薄くなればいい。


流れていく時間と淀み続ける時間がある。
どちらも否定はできない。 それを受け入れて、前に進もう。



◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ 

 つけてみました。 
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