「人は二度死ぬ」ってことを読んだ



本だったかコラムだったか、もしかしたらWEBのちっぽけな記事だったかもしれないけど
「人は二度死ぬ」って書いてあったのを覚えている。
一度目は肉体的な死。
もう一つは、記憶から忘れ去られていくという、存在的な死。
なんとなく、受け入れやすい話だった。
親父が亡くなって、僕らの記憶から消えてしまうことはないと思う。
ただ、友人や知人の人たちになると、そういった思いはさすがに弱くなるだろうし、だんだんと薄れていくだろう。 時々、何かの折に瞬間的に復活しても、薄れていくという方向は変わらない。
高校時代の友人や大学の友達でさえ、もう名前も思い出せない奴もいる。会社にはいって一緒に働いていた同僚でも、忘れてしまった人もいる。
逆に言えば、こういう人たちは僕の中では死んでしまった人たちなんだな…
親父と違って。本当に亡くなってしまった人と違って。
肉体的に生きている僕らは存在的に死なないようにすることはできる。以前の仕事で付き合っていた連中とも、たまに連絡を取る。向こうから来なくなっていても、こちらから連絡をしてみる。一瞬、電話やメールをためらうときもあるけれども、連絡してみるとなんてことはない、以前のままの奴らだ。お互いに、たまたま連絡が途絶えていただけで、また以前のように戻る。そしてまた、少し経つと薄れていく。
お互いに暮らしや仕事があり、薄れていくことは当たり前だけど、人と人とのつながりがあるから、いつでも戻る。そういうことの繰り返しで、一つずつ少しずつ深まる関係もある。
お袋の中では親父は消えてしまうこともなく、いつまでも一緒に暮らしていくんだろうなって思う。
僕の中では親父もお袋もずっと一緒にいる。そういう意味では、この人たちは二度死ぬことはない。僕が死なない限り。
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