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親父のこと 2013年5月3日 未明の頃

ブリューゲル ブリューゲル ブリューゲル


ちょうど日付が変わる頃、落ち着いた寝息をたてていた親父が、少し動き始める。 寝苦しくなったのかな、と思うと少し唸るような声をあげている。 電気をつけて、親父の顔を見る。

10日ぶりのくらいだ。 こないだの時のような、顔の黄色さはない。 見慣れた親父の顔色だ。 痛みが出ているようで、少し苦悶の表情を浮かべている。 
看護師を呼ぶと、すぐに痛み止めを打つ。 あらかじめ足に注射針を入れっぱなしにしているので、機械のボタンを押して鎮痛の成分を流すだけ。 簡単なモノだ。

親父は以前、右脚に菌が入って膿んだ状態になったことがある。 どうも、その辺りが痛んでいる様子だ。 やがて鎮痛の成分が効き始めたのか、落ち着く。 呼吸が安定する。 寝たのかな?とおもい、僕もだんだんと眠気に襲われてくる。

02:00頃。 また少し唸り始める。 右脚を盛んに動かす。 右手が宙をさまよい、ベッドの手すりをもつ。 左手は宙に浮いたまま。 看護師をまた呼ぶ。 さっきと同じ繰り返し。

04:00前。 まただ。 どうやら、薬は2時間くらいしか効かないのかもしれない。 痛みと、暑いのかその痛い場所が熱いのか、とにかく「あつい」という。 
痛みがひどいのか、何かしゃべっている。
あぁ、死にそうや。。。
シャレにも何にもならない。
さっきまでの鎮痛剤と少し異なるタイプの物を入れてみる。 落ち着く。 また眠ったのか、おとなしくなる。

こんな状態ではあっても、親父のか弱く痛々しい声を聞くのが辛い。
あぁ、痛い・・・
痛い、痛い・・・
治療をしないことを選んだ以上、結局はこの痛みを緩和し、緩和することを繰り返していくだけだ。

どのタイミングだったかな、親父と少し会話した。
会話と言ってもなめらかな物ではないが。

顔色、だいぶいいね
そうか?
って。

誰かがいることは認識しているのは間違いないが、僕のことを僕として認識してくれているのかがわからない。 怖くて聞けない。
親父、俺。 わかる? こういちだけど、わかるね?
って、その一言が怖くて聞けない。

朝食が準備されたのは7時頃。
食べるね?
と聞くと首を横に振る。 ちゃんと、コミュニケーションできているのが嬉しい。
無理に食べさせる物でもないので放っておくが、それでも全く食べないというのも好ましくはない。
時間が来て看護師が片付けるとき、カップのヨーグルトを残しておいてもらった。
少し時間をおいて親父に
ヨーグルト食べるね?
と聞くと、食べるという。
スプーンに乗せて一口。 口を開けて、食べる。 口の中が荒れていて、スプーンに少し、口内の粘りの塊のような物がついて出てくる。 口の中がさっぱりしていないだろう、不快だろう、と思いながら、もう一口。 もう一口。 合わせて4口くらいかな、カップのヨーグルトの半分近くを食べてくれた。 少し水も飲んだ。

こうして、痛む親父と向き合った一晩が空けた。



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