
朝食後。 早々に宿坊を出て、「奥の院」「金剛峰寺」「霊宝館」と回る。
奥の院に至るおよそ2キロ程度の参道の脇にはたくさんの墓がある。 苔むした墓、昔作りの大きな墓、たくさんの墓。 これが一つのハイライトのようだ。 所々にある看板や案内のマップを見ると、「武田信玄」「上杉謙信」「伊達正宗」といった戦国時代のお歴々の名前がズラリ。 墓と言っても暗い感じではなく、木漏れ日差す杉木立のなかに穏やかに石碑が並んでいる。

時期も天候も良かったんだろうけど、とても爽やかな参道の散歩だ。
「奥の院」は弘法大師ゆかりの建物。 参拝していると、お袋がこないだなくなったおばさんの弔いに何か申し込みをしている。 俺は親父とのんびりと境内散策。
「奥の院」から「金剛峰寺」へ。 この辺り、移動はもっぱらバス。 荷物が大きいのが昇降には少し不便だけど、まぁまぁ本数も出ていて便利。
「金剛峰寺」については何のイメージも持たずに行ったんだけど、とても大きな寺だった。 枯山水の庭は500坪ほどもあるらしく、なんでも日本で一番大きな枯山水式庭園だそうだ。 そんなものが京都の公家文化の寺にではなく、こういう和歌山の山奥にあるのはちょっと意外だった。
「金剛峰寺」から「霊宝館」までは徒歩。 実は、他の寺と同じように金剛峰寺の中に仏像やらを並べた建物があるのかと期待してたんだけど、実際には中で見ることができたのは庭のほかには見事なふすま絵くらい。 仏像はなかった。
で、この「霊宝館」は、高野山の様々なお寺の宝物を集めて保存・管理しているところだそうだ。 その中で、常設のもののほか、一部のものを入れ替え展示しているらしい。 今回見れるのは、コンガラ童子(漢字で書くと「矜羯羅」。読めやしない・・・)。
奈良で好きな興福寺には阿修羅をはじめとする八部衆というのがいる。 ここにいる童子も同じように、八大童子がいて、八体の個性的な彫像がいる。 今回は矜羯羅だけが展示されていて、残りの7人は隠されたまま。
実際に見てみると、その像はすごい。 形が生き生きとしていて、保存されている状態もとてもよくて。 ガラスケースの中に展示されている分、近くから見ることができた。 説明によると矜羯羅は髪の毛が癖っ毛で、気が弱いらしい。 なんとなく、愛嬌がある。 ほかの7人も、機会があれば見てみたいな。 これが次の目的になるな♪
霊宝館にはほかにも本とかで見たことのある仏像がいた。 好きでいろいろと仏像を見てきた僕は、簡単にだったらその特徴をお袋に説明できる。
「薬師が両脇に従えているのは日光と月光という菩薩だよ」とか、
「四天王は如来を外的から守っているので鎧を着けていて、足元を見るとその敵(邪鬼)を踏みつけている」とか…
お袋は観光旅行に数多く行っているが、まぁおばさん連中の団体旅行、ギャァギャァ騒いで呑んでくるだけで、そういう像をたくさん見ても何も知らないままだったらしい。 まぁ、小さな親孝行ができたかな? 「へぇ!!」って喜んで聞いてくれてたし。
お袋と見ている間にも、親父は入り口のベンチで「待機」。 足が痛むのもあるようだし、仏像とかに興味がないのもあったみたいで。 気を使って、早速引き上げて次の目的地、「奈良」に移動することに決めた。 予定よりも1時間以上も早い移動だ。
バスでケーブルの駅へ、そこからケーブルで下って電車に乗り換え。 乗り継いで奈良へ。 2時間近くかかったのかな、全体で。
団体旅行と違って普段の俺の行動ベースでの移動なので、こんなに電車を乗り継ぐような経験が両親にはあまりない。 普段よりも疲れているのは、そのせいもあるのかな?
今夜のホテルは近鉄奈良駅のすぐ上、「春日ホテル」。 昨日の宿坊とはうってかわって、老舗のホテルだ。 前にも宿泊したことがあり、なんといっても立地の便利さが抜群。 敷地が興福寺に面していて、奈良公園(東大寺)までも歩いてすぐだ。
しかも、奮発して部屋に露天風呂のついた特別室に宿泊。 早速、親父は風呂に入る。
興福寺は僕の中でもかなり好きなお寺のひとつ。 今までにも何度か来たことがある。 藤原氏の氏寺という寺で、要は相当な権力者の寺ということで、そこにある建物や仏像も、とてもとてもすごいものが多い。
チェックインして夕食までまだ時間があるので、僕は一人でお散歩がてらそこの「東金堂」を覗こうと出かけた。 フロントでまだ開いている時間であることを確認し、ホテルを出て2〜3分程度、いつもの入り口にたどり着くと…なんか違う…幕が張られている。
入り口にいる人のところへ行くと、「あ、今日は夜にお能を奉納するんで、もう東金堂は拝観できないですよ」
…おいおいおいおい、だめじゃん、それじゃぁ。 夕方の時間の、あたりが薄暗い中での仏像を見たかったのに…
じゃぁまぁ仕方ない、明日もあるんだから、明日の朝は「東金堂」と「国宝館」にしようと思って帰る。
豪華な夕食を食べ、夜間ライトアップがされていることもあり、家族でお散歩。 ホテルを出て、駅前の商店街を通り、興福寺の脇にある「猿沢の池」側から興福寺に近づく。 もうお能も終わった後だ。 幕の中を通り、「明日はここの中見ようね。 すごいから」と話しながらのんびり歩いて戻る。

そういえば、鹿が全然いないな。 見事に追い払ったんだろうな…